Tuesday, August 18, 2026

#SP-9 熊本県熊本地方周辺の特異震源の解析(ミクロ的解析)

 [背景]

気象庁の有感地震全データを東経北緯を0.1度単位深さを1km単位のグリッドに分けた場合、M7以上の震源、かつ段数2段目あるいは3段目以上のグリッド震源はこれまで13震源しか存在しない。これら13震源を段数の特異震源と呼ぶ。2016年4月の熊本地震M7.3は2段目であり、13地震のうち、9番目の発生のため、#SP-9と略号。この震源の近傍グリッド(緯度・経度±0.1°)の17震源についてミクロ的な矩形エリアでのM5.0以上の解析を行い、特異震源との関連性を見出そうとするものである。


[データ範囲と震源データ(M5.0以上)]

気象庁データ(1919/01-2026/07/26)における熊本県熊本地方の2016年熊本地震の震源周囲(緯度・経度±0.1°)の矩形エリアからM5.0以上を抽出。これら17震源を対象に解析を行う。


[M5.0以上の震源推移]

下の図1に示すように##1~##3までは反時計周り、反転して、##2~##6では時計周り、変曲して、##6~KM-#15まで再び時計周り(##13/##14は同一震源と見なした場合)。##14~#17では反時計周り。驚くべき事にこの時計回り・反時計周りの周回パターンは熊本地震のマクロのパターンとほぼ同じ(発生時期や角度は異なる)。##5以外はほぼ日奈久断層に沿った北東~南西方向に沿った分布で、##6が2000年、##7以降が全て2016年4月の発生。二つの変曲点のうち、##3は唯一の震源深さ0km。##6は連続した線分のうち、唯一、北東~南西方向の日奈久断層に対して垂直に近い線分##5/##6で、日奈久断層に沿っての連続発生が始まった震源。規模で見ると、M6以上はM6.5(##7)、M6.4(##11)、M7.3(##13)と全て2016年4月の発生。

[M5.0以上の震源間相関直線とその傾き、およぴ幾何的中心]
前記17震源を直線で結ぶ21本の震源間の高相関式群とその傾き・切片・(東経に対する)角度・相関係数は以下の通り。


これら21本の相関直線を以下の図2に示す。


21本のうち、3本がほぼ完全相関でR² = 1。他にも3本の相関係数も0.9998~0.9999で完全相関に近い。また、6本が4震源を含む高相関の震源ラインであったり、6震源が5本の震源ラインに含まれる等の重複が多いのは、震源の多くが日奈久断層に沿っているのと、半数以上の11震源が2016年4月での熊本地震の前震~本震~余震であるため。L6(-50.3°)と特異震源##13(M7.3)を含む4震源の高相関震源ラインL13(39.2°)がほぼ直交。L13(39.2°)と平行のL2(39.2°)およびほぼ平行の4震源のL18(40.5°)も同様にL6(-50.3°)とほぼ直交。他にもL10(19.0°)とL15(-73.3°)もほぼ直交でL15は特異震源##13(M7.3)を含む4震源の高相関震源ライン。
これら21本の相関式の傾きと切片の相関式から得られるメタ相関式 y = -130.78x + 32.729の傾きと切片から震源群の幾何的中心の座標GCが得られる。一方、時系列に連続した2つの震源を結ぶ15本の線分群から得られる幾何的中心をGC(all)とすると各GCは以下の通り。
 21相関式から算出       GC (130.78, 32.729)
 16本の線分群から算出 GC(all) (130.71, 32.335)
前記の直交震源ライン群(L6および直交するL13・L2・L18、L15および直交するL10)とGC、GC(all)を以下の図3に図示した。その際、GCを通るL6に平行線(水色)を追加したが、その平行線は特異震源である2016年の熊本地震の震源##13上を通過している。一方、GC(all)は震源群から南西方向に大きく離れた場所に位置している。


[M5.0以上の震源間相関直線L1~L14におけるパラメーターとの相関]
下表のようにパラメーターとして、一つ前の地震との線分の傾き(北緯差ΔN/東経差ΔE)、線分切線分傾きΔN/ΔEを追加した。


震源間相関直線L1~L15における東経vs北緯以外のパラメーター間の相関高めの図を以下に抜粋した。ただし、震源間のデータの近接による可能性の高いものはグラフを省略。

L1(##1/##3/##4)…東経 vs 北緯の相関係数は0.9985(ただし、##3/##4が近接)。他の高相関パラメーターでは北緯 vs Mで高相関だが、##3/##4が近接。

L2(##1/##6/##11)…東経 vs 北緯の相関係数は0.9994。他の高相関パラメーターは見当たらず。L6とほぼ直交。

L3(##1/##7/##8)…東経 vs 北緯の相関係数は4震源間で0.9971。他の高相関パラメーターでは東経/北緯 vs 北緯差ΔN、東経 vs 線分傾きΔN/ΔEで高相関。




L4(##1/##9/##12)…東経 vs 北緯の相関係数は0.999。他の高相関パラメーターでは日時 vs 深さで高相関。ただし、##3/##4は座標が近接。

L5(##1/##10/##17)…東経 vs 北緯の相関係数は0.9999。他の高相関パラメーターでは日時 vs 線分傾きΔN/ΔEで高相関。ただし、##10/##17は座標が近接。

L6(##2/##5/##10)…東経 vs 北緯の相関係数は0.9997。他の高相関パラメーターはなし。L13・L2・L18とほぼ直交。

L7(##2/##11/##16)…東経 vs 北緯の相関係数は0.9969。他の高相関パラメーターはなし。

L8(##2/##4/##13/##14)…東経 vs 北緯の4震源の相関係数は0.9975(ただし、##13/##14が近接)。そのため、以下に##13/##14のいずれかを含む2通りについて相関を確認した。

L8-1(##2/##4/##13)…東経 vs 北緯の3震源の相関係数は0.998。他の高相関パラメーターはなし。

L8-2(##2/##4/##14)…東経 vs 北緯の3震源の相関係数は0.9986。他の高相関パラメーターでは東経差ΔE vs 北緯差ΔNで高相関。ただし、##4/##14の座標はやや近接。


L9(##2/##9/##12)…東経 vs 北緯の相関係数は0.998。他の高相関パラメーターはなし。

L10(##3/##4/##7)…東経 vs 北緯の相関係数0.9981。他の高相関パラメーターでは東経差ΔE vs 北緯差ΔNで高相関。L15とほぼ直交。


L11(##3/##4/##8/##10)…東経 vs 北緯の4震源の相関係数は0.9928。他の高相関パラメーターでは東経差ΔE vs 北緯差ΔNで高相関。3震源での相関は以下の通り。


L11-1(##3/##4/##8)…東経 vs 北緯の3震源の相関係数は0.9928。他の高相関パラメーターでは北緯 vs M(##3/##4が近接)、東経差ΔE vs 北緯差ΔNで高相関。


L11-2(##3/##4/##10)…東経 vs 北緯の3震源の相関係数は0.9956。他の高相関パラメーターでは東経差ΔE vs 北緯差ΔNで高相関。


L11-3(##3/##8/##10)…東経 vs 北緯の3震源の相関係数は0.9988。他の高相関パラメーターでは東経差ΔE vs 北緯差ΔNで高相関。


L11-4(##4/##8/##10)…東経 vs 北緯の3震源の相関係数は0.9991。他の高相関パラメーターはなし。

L12(##3/##6/##12)…東経 vs 北緯の3震源の相関係数は0.9991。他の高相関パラメーターはなし。

L13(##3/##13/##14/##15)…東経 vs 北緯の4震源の相関係数は0.9989(ただし、##13/##14が近接)。そのため、以下に##13/##14のいずれかを含む2通りについて相関を確認した。L6とほぼ直交。

L13-1(##3/##13/##15)…東経 vs 北緯の3震源の相関係数は0.9992。他の高相関パラメーターでは日時 vs 深さで高相関。ただし、##13/##15の座標は近接。

L13-2(##3/##14/##15)…東経 vs 北緯の3震源の相関係数は0.9993。他の高相関パラメーターでは北緯 vs M、東経差ΔE vs 北緯差ΔNで高相関。



L14(##4/##12/##17)…東経 vs 北緯の相関係数0.9996。その他、東経差 ΔE vs 北緯差 ΔN、東経差ΔE/北緯差ΔN vs 線分傾きΔN/ΔEでも高相関。ただし、いずれも##4/##12の座標が近接。

L15(##5/##11/##13/##14)…東経 vs 北緯の4震源の相関係数は0.9988(ただし、##13/##14が近接)。そのため、以下に##13/##14のいずれかを含む2通りについて相関を確認した。L10とほぼ直交。

L15-1(##5/##11/##13)…東経 vs 北緯の3震源の相関係数は0.9997。他の高相関パラメーターでは東経差 ΔE vs 線分傾きΔN/ΔEで高相関。


L15-2(##5/##11/##14)…東経 vs 北緯の3震源の相関係数は0.9993。他の高相関パラメーターでは日時 vs 線分傾きΔN/ΔE(##11/##14が近接)、東経/北緯 vs 北緯差ΔNで高相関。



L16(##6/##7/##10)…東経 vs 北緯の相関係数は0.9968。その他、日時 vs 線分傾きΔN/ΔEで高相関。ただし、##7/##10の座標が近い。

L17(##6/##9/##11)…東経 vs 北緯の相関係数は1 で完全相関。その他、日時 vs 線分傾きΔN/ΔEで高相関。ただし、##9/##11の座標が近い。

L18(##7/##8/##9/##12)…東経 vs 北緯の4震源の相関係数は0.9985。他の高相関パラメーターはなし。L6とほぼ直交。3震源での相関は以下の通り。

L18-1(##7/##8/##9)…東経 vs 北緯の3震源の相関係数0.9998。その他、東経差 ΔE vs 北緯差 ΔNでも高相関。ただし、##7/##8の座標が近接。

L18-2(##7/##8/##12)…東経 vs 北緯の3震源の相関係数1で完全相関。その他、日時 vs 北緯差 ΔN、日時 vs 線分傾きΔN/ΔE、北緯差 ΔN vs 線分傾きΔN/ΔEでも高相関。




L18-3(##7/##9/##12)…東経 vs 北緯の3震源の相関係数0.9966。その他、東経差ΔE vs 北緯差 ΔNでも高相関。



L18-4(##8/##9/##12)…東経 vs 北緯の3震源の相関係数0.9984。その他の高相関はなし。

L19(##7/##10/##11/##15)…東経 vs 北緯の相関は4震源の相関係数1で完全相関。他の高相関はなし。3震源での相関は以下の通り。

L19-1(##7/##10/##11)…東経 vs 北緯の3震源の相関係数0.9999。その他、東経/北緯 vs 深さ、東経/北緯 vs 東経差 Δ、東経差 ΔE vs 北緯差 ΔN、東経差 ΔE/北緯差 ΔN vs 線分傾きΔN/ΔEでも高相関。








L19-2(##7/##10/##15)…東経 vs 北緯の3震源の相関係数1で完全相関。その他の高相関はなし。

L19-3(##7/##11/##15)…東経 vs 北緯の3震源の相関係数1で完全相関。その他、日時 vs M、東経差 ΔE vs 線分傾きΔN/ΔEで高相関。



L19-4(##10/##11/##15)…東経 vs 北緯の3震源の相関係数1で完全相関。その他の高相関はなし。

L20(##9/##12/##15)…東経 vs 北緯の相関係数1で完全相関。その他、日時 vs 東経/北緯、日時 vs M、東経/北緯 vs Mで高相関。##9/##12でM=5.0で同じため、M含む相関が高くなっているので省略。



L21(##13/##14/##16/##17)…東経 vs 北緯の相関は4震源で相関係数0.9998(ただし、##13/##14が近接)。そのため、以下に##13/##14のいずれかを含む2通りについて相関を確認した。L6とほぼ直交。

L21-1(##13/##16/##17) …東経 vs 北緯の相関は相関係数0.9999。その他、東経差 ΔE vs 北緯差 ΔNでも高相関。


L21-2(##14/##16/##17) …東経 vs 北緯の相関は相関係数0.9998。その他の高相関なし。

[震源間相関とその物理的挙動の推測] 

L2、L18、L13という三層の並行ラインが存在し、それらに垂直なL6とL13との交点で発生した2016年熊本地震への応力の絞り込みのプロセスと考える事ができる。

第1期:初期枠組みの形成と開放端への到達(##01 〜 ##03)

期間: 1933年 〜 1937年
個別挙動: ##1(12km, M5.0)から始まり、##3(0km, M5.1)で地表開放端に到達する反時計回りの推移。
メカニズム: 深部から供給されたエネルギーが地表の「蓋(0km)」を叩き、エリア全体の幾何学的な外郭を画定した準備フェーズ。
物理的解釈: 「エネルギー蓄積の開始」。エネルギーの檻の基礎となる垂直方向のひび割れが形成され、応力がマクロな構造からミクロなグリッドへと流入が開始。

第2期:蓄積期と日奈久断層へのトラップ(##03 〜 ##06)

期間: 1937年 〜 2000年
個別挙動: ##3(0km)での表層でのエネルギー放出により、軌跡が時計回りへ反転。日奈久断層の走向(北東ー南西)に沿った分布が定着。
メカニズム: 変曲点となった##06(2000年, M5.0)は、日奈久断層に対して垂直に近い線分(##05/##06)で移動しており、これが後の巨大連鎖の点火プラグに相当するハブを形成。
物理的解釈: 「エネルギーの閉じ込め」。エネルギーが断層帯の固着域に閉じ込められ、2016年熊本地震に向けた応力上昇がその後の数十年かけて進行。

第3期:臨界期:2016年熊本地震の連鎖破壊(##07 〜 ##13)

期間: 2016年4月14日 〜 4月16日
個別挙動: 前震 ##7(M6.5) および ##11(M6.4) を経て、特異震源 ##13(#SP-9) で2016年熊本地震:M7.3が発生。軌跡は時計回りを継続。
メカニズム: この領域を支配する直交障壁(L6 と L13、L10 と L15)による拘束が限界に達した。
直交性の意義: 角度 -50.3° の L6 と、##13 を含む角度 39.2° の L13 は、約 89.5° でほぼ完璧に直交。もう一組の直交系、L10(19.0°)とL15(-73.3°)のうち、L10は##3/##4/##7からなり、 前震 ##7(M6.5)への誘導の役割。さらに直交するL15は##13 を含む。
本震の発生: 本震 ##13(M7.3)は、幾何学的中心(GC)を通り L6 に平行なライン上で発生しており、幾何学的に「予約」されていたハブ(結節点)で蓄積エネルギーが解放されたことを示唆。
物理的解釈: 「エネルギーのダムの決壊」。小細分化されていたアスペリティが一気に連結し、M7.3 の巨大な「発振出力」が発生した相転移プロセス。

第4期:調整期と秩序再編(##14 〜 ##17)

期間: 2016年4月16日 〜 現在
個別挙動: 本震直後から軌跡が反時計回りに再反転。##14〜##17にかけて、本震によって生じた不整合を埋めるように推移。
メカニズム: 巨大破壊によってエネルギー放出された「ダムの容器」を、既存の幾何学的レール(L21など)に沿って再編する復元モード。
物理的解釈: 「再ロックと容量拡大」。10kmでの最大規模更新(M7.3)および##17(M5.4)のグリッドでの段数更新(6段目)は、破壊されたアスペリティがより細かく密に再構成され、次に同じ場所を壊すためにはさらなるエネルギーが必要な「より大きなダム」へと再構成されたと推測。

[総括:#SP-9 ミクロ領域の物理的特質]

マクロ・ミクロの相似性: マクロ解析で見られた「時計回り・反時計回り」の周回パターンが、10km四方のミクロ領域でもフラクタル(自己相似的)に再現。

直交拘束の役割: 茨城県沖や岩手県沖と同様、直交する断層プレーン(L6/L13など)が応力の「檻」となり、ランダムな分散を許さず、臨界点での一気貫通の破壊(M7.3)を強いる構造。
荷重転嫁の放水路: 最新の震源推移が示すベクトルは、2016年の破壊エリアの外縁(日奈久断層帯の未破壊セグメント方向)を指しており、これは「安定化した本堤」をバイパスした歪みが、新たな放水路を形成しつつある兆候の可能性。ミクロエリアでのGC(all)が震源群から大きく南西側に離れている事もその可能性を示唆。

結論として、熊本#SP-9ミクロ解析は、「直交する障壁の中で精密に水位を管理し、臨界に達した瞬間に、定義された幾何学的ハブで記録的な規模(3段目へのジャンプ)が発生」という、極めて数理的な物理拘束の結果、と推測される。

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#SP-9 熊本県熊本地方周辺の特異震源の解析(ミクロ的解析)

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