Tuesday, August 18, 2026

#SP-9 熊本県熊本地方周辺の特異震源の解析(ミクロ的解析)

 [背景]

気象庁の有感地震全データを東経北緯を0.1度単位深さを1km単位のグリッドに分けた場合、M7以上の震源、かつ段数2段目あるいは3段目以上のグリッド震源はこれまで13震源しか存在しない。これら13震源を段数の特異震源と呼ぶ。2016年4月の熊本地震M7.3は2段目であり、13地震のうち、9番目の発生のため、#SP-9と略号。この震源の近傍グリッド(緯度・経度±0.1°)の17震源についてミクロ的な矩形エリアでのM5.0以上の解析を行い、特異震源との関連性を見出そうとするものである。


[データ範囲と震源データ(M5.0以上)]

気象庁データ(1919/01-2026/07/26)における熊本県熊本地方の2016年熊本地震の震源周囲(緯度・経度±0.1°)の矩形エリアからM5.0以上を抽出。これら17震源を対象に解析を行う。


[M5.0以上の震源推移]

下の図1に示すように##1~##3までは反時計周り、反転して、##2~##6では時計周り、変曲して、##6~KM-#15まで再び時計周り(##13/##14は同一震源と見なした場合)。##14~#17では反時計周り。驚くべき事にこの時計回り・反時計周りの周回パターンは熊本地震のマクロのパターンとほぼ同じ(発生時期や角度は異なる)。##5以外はほぼ日奈久断層に沿った北東~南西方向に沿った分布で、##6が2000年、##7以降が全て2016年4月の発生。二つの変曲点のうち、##3は唯一の震源深さ0km。##6は連続した線分のうち、唯一、北東~南西方向の日奈久断層に対して垂直に近い線分##5/##6で、日奈久断層に沿っての連続発生が始まった震源。規模で見ると、M6以上はM6.5(##7)、M6.4(##11)、M7.3(##13)と全て2016年4月の発生。

[M5.0以上の震源間相関直線とその傾き、およぴ幾何的中心]
前記17震源を直線で結ぶ21本の震源間の高相関式群とその傾き・切片・(東経に対する)角度・相関係数は以下の通り。


これら21本の相関直線を以下の図2に示す。


21本のうち、3本がほぼ完全相関でR² = 1。他にも3本の相関係数も0.9998~0.9999で完全相関に近い。また、6本が4震源を含む高相関の震源ラインであったり、6震源が5本の震源ラインに含まれる等の重複が多いのは、震源の多くが日奈久断層に沿っているのと、半数以上の11震源が2016年4月での熊本地震の前震~本震~余震であるため。L6(-50.3°)と特異震源##13(M7.3)を含む4震源の高相関震源ラインL13(39.2°)がほぼ直交。L13(39.2°)と平行のL2(39.2°)およびほぼ平行の4震源のL18(40.5°)も同様にL6(-50.3°)とほぼ直交。他にもL10(19.0°)とL15(-73.3°)もほぼ直交でL15は特異震源##13(M7.3)を含む4震源の高相関震源ライン。
これら21本の相関式の傾きと切片の相関式から得られるメタ相関式 y = -130.78x + 32.729の傾きと切片から震源群の幾何的中心の座標GCが得られる。一方、時系列に連続した2つの震源を結ぶ15本の線分群から得られる幾何的中心をGC(all)とすると各GCは以下の通り。
 21相関式から算出       GC (130.78, 32.729)
 16本の線分群から算出 GC(all) (130.71, 32.335)
前記の直交震源ライン群(L6および直交するL13・L2・L18、L15および直交するL10)とGC、GC(all)を以下の図3に図示した。その際、GCを通るL6に平行線(水色)を追加したが、その平行線は特異震源である2016年の熊本地震の震源##13上を通過している。一方、GC(all)は震源群から南西方向に大きく離れた場所に位置している。


[M5.0以上の震源間相関直線L1~L14におけるパラメーターとの相関]
下表のようにパラメーターとして、一つ前の地震との線分の傾き(北緯差ΔN/東経差ΔE)、線分切線分傾きΔN/ΔEを追加した。


震源間相関直線L1~L15における東経vs北緯以外のパラメーター間の相関高めの図を以下に抜粋した。ただし、震源間のデータの近接による可能性の高いものはグラフを省略。

L1(##1/##3/##4)…東経 vs 北緯の相関係数は0.9985(ただし、##3/##4が近接)。他の高相関パラメーターでは北緯 vs Mで高相関だが、##3/##4が近接。

L2(##1/##6/##11)…東経 vs 北緯の相関係数は0.9994。他の高相関パラメーターは見当たらず。L6とほぼ直交。

L3(##1/##7/##8)…東経 vs 北緯の相関係数は4震源間で0.9971。他の高相関パラメーターでは東経/北緯 vs 北緯差ΔN、東経 vs 線分傾きΔN/ΔEで高相関。




L4(##1/##9/##12)…東経 vs 北緯の相関係数は0.999。他の高相関パラメーターでは日時 vs 深さで高相関。ただし、##3/##4は座標が近接。

L5(##1/##10/##17)…東経 vs 北緯の相関係数は0.9999。他の高相関パラメーターでは日時 vs 線分傾きΔN/ΔEで高相関。ただし、##10/##17は座標が近接。

L6(##2/##5/##10)…東経 vs 北緯の相関係数は0.9997。他の高相関パラメーターはなし。L13・L2・L18とほぼ直交。

L7(##2/##11/##16)…東経 vs 北緯の相関係数は0.9969。他の高相関パラメーターはなし。

L8(##2/##4/##13/##14)…東経 vs 北緯の4震源の相関係数は0.9975(ただし、##13/##14が近接)。そのため、以下に##13/##14のいずれかを含む2通りについて相関を確認した。

L8-1(##2/##4/##13)…東経 vs 北緯の3震源の相関係数は0.998。他の高相関パラメーターはなし。

L8-2(##2/##4/##14)…東経 vs 北緯の3震源の相関係数は0.9986。他の高相関パラメーターでは東経差ΔE vs 北緯差ΔNで高相関。ただし、##4/##14の座標はやや近接。


L9(##2/##9/##12)…東経 vs 北緯の相関係数は0.998。他の高相関パラメーターはなし。

L10(##3/##4/##7)…東経 vs 北緯の相関係数0.9981。他の高相関パラメーターでは東経差ΔE vs 北緯差ΔNで高相関。L15とほぼ直交。


L11(##3/##4/##8/##10)…東経 vs 北緯の4震源の相関係数は0.9928。他の高相関パラメーターでは東経差ΔE vs 北緯差ΔNで高相関。3震源での相関は以下の通り。


L11-1(##3/##4/##8)…東経 vs 北緯の3震源の相関係数は0.9928。他の高相関パラメーターでは北緯 vs M(##3/##4が近接)、東経差ΔE vs 北緯差ΔNで高相関。


L11-2(##3/##4/##10)…東経 vs 北緯の3震源の相関係数は0.9956。他の高相関パラメーターでは東経差ΔE vs 北緯差ΔNで高相関。


L11-3(##3/##8/##10)…東経 vs 北緯の3震源の相関係数は0.9988。他の高相関パラメーターでは東経差ΔE vs 北緯差ΔNで高相関。


L11-4(##4/##8/##10)…東経 vs 北緯の3震源の相関係数は0.9991。他の高相関パラメーターはなし。

L12(##3/##6/##12)…東経 vs 北緯の3震源の相関係数は0.9991。他の高相関パラメーターはなし。

L13(##3/##13/##14/##15)…東経 vs 北緯の4震源の相関係数は0.9989(ただし、##13/##14が近接)。そのため、以下に##13/##14のいずれかを含む2通りについて相関を確認した。L6とほぼ直交。

L13-1(##3/##13/##15)…東経 vs 北緯の3震源の相関係数は0.9992。他の高相関パラメーターでは日時 vs 深さで高相関。ただし、##13/##15の座標は近接。

L13-2(##3/##14/##15)…東経 vs 北緯の3震源の相関係数は0.9993。他の高相関パラメーターでは北緯 vs M、東経差ΔE vs 北緯差ΔNで高相関。



L14(##4/##12/##17)…東経 vs 北緯の相関係数0.9996。その他、東経差 ΔE vs 北緯差 ΔN、東経差ΔE/北緯差ΔN vs 線分傾きΔN/ΔEでも高相関。ただし、いずれも##4/##12の座標が近接。

L15(##5/##11/##13/##14)…東経 vs 北緯の4震源の相関係数は0.9988(ただし、##13/##14が近接)。そのため、以下に##13/##14のいずれかを含む2通りについて相関を確認した。L10とほぼ直交。

L15-1(##5/##11/##13)…東経 vs 北緯の3震源の相関係数は0.9997。他の高相関パラメーターでは東経差 ΔE vs 線分傾きΔN/ΔEで高相関。


L15-2(##5/##11/##14)…東経 vs 北緯の3震源の相関係数は0.9993。他の高相関パラメーターでは日時 vs 線分傾きΔN/ΔE(##11/##14が近接)、東経/北緯 vs 北緯差ΔNで高相関。



L16(##6/##7/##10)…東経 vs 北緯の相関係数は0.9968。その他、日時 vs 線分傾きΔN/ΔEで高相関。ただし、##7/##10の座標が近い。

L17(##6/##9/##11)…東経 vs 北緯の相関係数は1 で完全相関。その他、日時 vs 線分傾きΔN/ΔEで高相関。ただし、##9/##11の座標が近い。

L18(##7/##8/##9/##12)…東経 vs 北緯の4震源の相関係数は0.9985。他の高相関パラメーターはなし。L6とほぼ直交。3震源での相関は以下の通り。

L18-1(##7/##8/##9)…東経 vs 北緯の3震源の相関係数0.9998。その他、東経差 ΔE vs 北緯差 ΔNでも高相関。ただし、##7/##8の座標が近接。

L18-2(##7/##8/##12)…東経 vs 北緯の3震源の相関係数1で完全相関。その他、日時 vs 北緯差 ΔN、日時 vs 線分傾きΔN/ΔE、北緯差 ΔN vs 線分傾きΔN/ΔEでも高相関。




L18-3(##7/##9/##12)…東経 vs 北緯の3震源の相関係数0.9966。その他、東経差ΔE vs 北緯差 ΔNでも高相関。



L18-4(##8/##9/##12)…東経 vs 北緯の3震源の相関係数0.9984。その他の高相関はなし。

L19(##7/##10/##11/##15)…東経 vs 北緯の相関は4震源の相関係数1で完全相関。他の高相関はなし。3震源での相関は以下の通り。

L19-1(##7/##10/##11)…東経 vs 北緯の3震源の相関係数0.9999。その他、東経/北緯 vs 深さ、東経/北緯 vs 東経差 Δ、東経差 ΔE vs 北緯差 ΔN、東経差 ΔE/北緯差 ΔN vs 線分傾きΔN/ΔEでも高相関。








L19-2(##7/##10/##15)…東経 vs 北緯の3震源の相関係数1で完全相関。その他の高相関はなし。

L19-3(##7/##11/##15)…東経 vs 北緯の3震源の相関係数1で完全相関。その他、日時 vs M、東経差 ΔE vs 線分傾きΔN/ΔEで高相関。



L19-4(##10/##11/##15)…東経 vs 北緯の3震源の相関係数1で完全相関。その他の高相関はなし。

L20(##9/##12/##15)…東経 vs 北緯の相関係数1で完全相関。その他、日時 vs 東経/北緯、日時 vs M、東経/北緯 vs Mで高相関。##9/##12でM=5.0で同じため、M含む相関が高くなっているので省略。



L21(##13/##14/##16/##17)…東経 vs 北緯の相関は4震源で相関係数0.9998(ただし、##13/##14が近接)。そのため、以下に##13/##14のいずれかを含む2通りについて相関を確認した。L6とほぼ直交。

L21-1(##13/##16/##17) …東経 vs 北緯の相関は相関係数0.9999。その他、東経差 ΔE vs 北緯差 ΔNでも高相関。


L21-2(##14/##16/##17) …東経 vs 北緯の相関は相関係数0.9998。その他の高相関なし。

[震源間相関とその物理的挙動の推測] 

L2、L18、L13という三層の並行ラインが存在し、それらに垂直なL6とL13との交点で発生した2016年熊本地震への応力の絞り込みのプロセスと考える事ができる。

第1期:初期枠組みの形成と開放端への到達(##01 〜 ##03)

期間: 1933年 〜 1937年
個別挙動: ##1(12km, M5.0)から始まり、##3(0km, M5.1)で地表開放端に到達する反時計回りの推移。
メカニズム: 深部から供給されたエネルギーが地表の「蓋(0km)」を叩き、エリア全体の幾何学的な外郭を画定した準備フェーズ。
物理的解釈: 「エネルギー蓄積の開始」。エネルギーの檻の基礎となる垂直方向のひび割れが形成され、応力がマクロな構造からミクロなグリッドへと流入が開始。

第2期:蓄積期と日奈久断層へのトラップ(##03 〜 ##06)

期間: 1937年 〜 2000年
個別挙動: ##3(0km)での表層でのエネルギー放出により、軌跡が時計回りへ反転。日奈久断層の走向(北東ー南西)に沿った分布が定着。
メカニズム: 変曲点となった##06(2000年, M5.0)は、日奈久断層に対して垂直に近い線分(##05/##06)で移動しており、これが後の巨大連鎖の点火プラグに相当するハブを形成。
物理的解釈: 「エネルギーの閉じ込め」。エネルギーが断層帯の固着域に閉じ込められ、2016年熊本地震に向けた応力上昇がその後の数十年かけて進行。

第3期:臨界期:2016年熊本地震の連鎖破壊(##07 〜 ##13)

期間: 2016年4月14日 〜 4月16日
個別挙動: 前震 ##7(M6.5) および ##11(M6.4) を経て、特異震源 ##13(#SP-9) で2016年熊本地震:M7.3が発生。軌跡は時計回りを継続。
メカニズム: この領域を支配する直交障壁(L6 と L13、L10 と L15)による拘束が限界に達した。
直交性の意義: 角度 -50.3° の L6 と、##13 を含む角度 39.2° の L13 は、約 89.5° でほぼ完璧に直交。もう一組の直交系、L10(19.0°)とL15(-73.3°)のうち、L10は##3/##4/##7からなり、 前震 ##7(M6.5)への誘導の役割。さらに直交するL15は##13 を含む。
本震の発生: 本震 ##13(M7.3)は、幾何学的中心(GC)を通り L6 に平行なライン上で発生しており、幾何学的に「予約」されていたハブ(結節点)で蓄積エネルギーが解放されたことを示唆。
物理的解釈: 「エネルギーのダムの決壊」。小細分化されていたアスペリティが一気に連結し、M7.3 の巨大な「発振出力」が発生した相転移プロセス。

第4期:調整期と秩序再編(##14 〜 ##17)

期間: 2016年4月16日 〜 現在
個別挙動: 本震直後から軌跡が反時計回りに再反転。##14〜##17にかけて、本震によって生じた不整合を埋めるように推移。
メカニズム: 巨大破壊によってエネルギー放出された「ダムの容器」を、既存の幾何学的レール(L21など)に沿って再編する復元モード。
物理的解釈: 「再ロックと容量拡大」。10kmでの最大規模更新(M7.3)および##17(M5.4)のグリッドでの段数更新(6段目)は、破壊されたアスペリティがより細かく密に再構成され、次に同じ場所を壊すためにはさらなるエネルギーが必要な「より大きなダム」へと再構成されたと推測。

[総括:#SP-9 ミクロ領域の物理的特質]

マクロ・ミクロの相似性: マクロ解析で見られた「時計回り・反時計回り」の周回パターンが、10km四方のミクロ領域でもフラクタル(自己相似的)に再現。

直交拘束の役割: 茨城県沖や岩手県沖と同様、直交する断層プレーン(L6/L13など)が応力の「檻」となり、ランダムな分散を許さず、臨界点での一気貫通の破壊(M7.3)を強いる構造。
荷重転嫁の放水路: 最新の震源推移が示すベクトルは、2016年の破壊エリアの外縁(日奈久断層帯の未破壊セグメント方向)を指しており、これは「安定化した本堤」をバイパスした歪みが、新たな放水路を形成しつつある兆候の可能性。ミクロエリアでのGC(all)が震源群から大きく南西側に離れている事もその可能性を示唆。

結論として、熊本#SP-9ミクロ解析は、「直交する障壁の中で精密に水位を管理し、臨界に達した瞬間に、定義された幾何学的ハブで記録的な規模(3段目へのジャンプ)が発生」という、極めて数理的な物理拘束の結果、と推測される。

Saturday, August 1, 2026

#SP-9 熊本県熊本地方周辺の特異震源の解析(マクロ的解析)

 [背景]

気象庁の有感地震全データを東経北緯を0.1度単位/深さ1km単位のグリッドに分けた場合、M7以上の震源、かつ段数2段目あるいは3段目以上のグリッド震源はこれまで13震源しか存在しない。これらの地震震源を段数の特異震源と呼ぶ。2016年4月の熊本地震M7.3は2段目であり、13地震のうちの9番目の発生のため、#SP-9と略号。この震源を含むマクロ的な震源域(熊本県熊本地方・阿蘇地方・球磨地方)を含む矩形エリアでのM5.7以上の解析を行い、特異震源との関連性を見出そうとするものである。

[データ範囲と震源データ(M5.7以上)]

気象庁データ(1919/01-2026/07/26)における熊本県熊本地方・阿蘇地方・球磨地方の全震源を含む矩形エリアからM5.7以上の15震源を抽出。先日、発生した令和8年熊本地震M7.1のKM-16を加えた16震源を対象に解析を行う。このエリア内には段数の特異震源#SP-9 (KM-#10)である2016年熊本地震M7.3を含む。

[M5.7以上の震源推移]


下の図1に示すようにKM-#1~KM-#3までは反時計周り、反転して、KM-#2~KM#12では時計周り、KM-#12で変曲、KM-#12~KM-#15まで再び時計周り。KM-#14~#16では反時計周り。KM-#16は今年7/28の令和8年熊本地震M7.1。なお、KM-#7~KM-#14は2016年4月の熊本地震の前震のM6.5(KM-#7)から2日後の熊本地震の本震M7.3(段数の特異震源KM-#10)およびその2日後の余震M5.8(KM-#14)まで。KM-#2/KM-#05/KM-#06以外はほぼ一直線の帯状に分布。KM-#3から時計周りにいびつな大きな四角形をループ、最もKM-#3に近づいたKM-#8の手前KM-#7で2016年の熊本地震の前震M6.5が発生。更にループを閉じる方向にKM-#8(M5.8)が発生。ほぼ折り返しでKM-#9(M6.4)が発生。進行方向を北西に変えて本震の本震M7.3(段数の特異震源KM-#10)が発生。余震は大きな四角形のループをほぼ閉じるようにKM-#14まで進行。以降のKM-#15は約9年の間隔をおいて折り返し方向に推移。続く翌年のKM-#16が今回の令和8年熊本地震M7.1で、いびつな四角形の頂点の一つKM-#7付近まで折り返して四角形エリアの外縁で発生。


[M5.7以上の震源間相関直線とその傾き、およぴ幾何的中心]

前記16震源を直線で結ぶ15本の震源間の高相関式群とその傾き・切片・(東経に対する)角度・相関係数は以下の通り。


これら15本の相関直線を図2にて追加する。



15本のうち、5本がほぼ完全相関でR² = 1。他にも6本の相関係数も0.9998~0.9999で完全相関に近い。L1(40.1°)/L2(41.4°)/L3(40.7°)、L6(52.8°)/L13(52.8°)、L9(-75.9°)/L11(-73.9)はほぼ平行。KM-#10で交差するL8(-15.7°)/L14(68.3°)で直交に近い(約84°)。これら15本の相関式の傾きと切片の相関式から得られるメタ相関式y = -130.97x + 32.914の傾きと切片から震源群の幾何的中心の座標GCが得られる。一方、時系列に連続した2つの震源を結ぶ15本の線分群から得られる幾何的中心をGC(all)とすると各GCは以下の通りで図3にて追加した。
 15相関式から算出       GC (130.97 , 32.914)
 15本の線分群から算出 GC(all) (131.29, 32.855)
その結果、GCは東端の線分KM-#4/KM-#5の中点付近(この線分は前記のいびつな大きな四角形の一辺)、GC(all)はL7と交差するほぼ平行なL9(-75.9°)/L11(-73.9)との交点の中点付近に位置(いびつな大きな四角形の一辺付近)している。


図1に同じ範囲と期間での90km以深の震源推移を追加したものを図4に示す。


追加した90km以深のデータは下表の通り。グラフでは茶線でラベルは震源深さ。
点線はその震源群の近似直線で傾きは29.6°でL15(29.1°)とほぼ平行。
KM-#2(M6.1)は90kmのKM-d4付近、KM-#7~#10(M7.3)は102kmのKM-d1周辺、KM-#16(M7.1)は149kmのKM-d6付近。M5.7以上の震源群におけるいびつな大きな四角形の北側の辺に当たる震源群の分布と90km以深の主要な分布はほぼ平行であり、地震エネルギーは深い所から浅い所に推移することを示唆しているとみられる。


[M5.7以上の震源間相関直線L1~L15におけるパラメーターとの相関]

下表のようにパラメーターとして、一つ前のM7の地震との線分の傾き(北緯差ΔN/東経差ΔE)、線分切線分傾きΔN/ΔEを追加した。


震源間相関直線L1~L15における東経vs北緯以外のパラメーター間の相関高めの図を以下に抜粋した。ただし、高相関が3点中2点の近接による可能性が高い場合はグラフを省略した。

L1(KM-#1/#9/#12)…東経 vs 北緯の相関は完全相関で相関係数1。他の高相関パラメーターでは日時 vs 深さで高相関。ただし、#9/#12は座標が近接。

L2(KM-#1/#7/#8)…東経 vs 北緯の相関係数は0.9989。他の高相関パラメーターはL1同様に日時 vs 深さでの座標近接による高相関。

L3(KM-#1/#3/#4/#15)…東経 vs 北緯の相関係数は4震源間で0.9999。以下、4点中3点の組合せについて、L3-1~L3-4として以下に評価。
L3-1(KM-#1/#3/#4)…東経 vs 北緯は完全相関で相関係数1。他の高相関パラメーターでは日時 vs 深さで高相関。ただし、#3/#4は座標が近接。
L3-2(KM-#1/#3/#15)…東経 vs 北緯の相関係数は0.9998。他の高相関パラメーターでは東経/北緯 vs 深さでやや高相関。ただし、#3/#15は座標がやや近接。



L3-3(KM-#1/#4/#15)…東経 vs 北緯の相関係数は0.9999。他の高相関パラメーターはなし。
L3-4(KM-#3/#4/#15)…東経 vs 北緯の相関係数は0.9986。他の高相関パラメーターはなし。

L4(KM-#3/#6/#12)…東経 vs 北緯の相関係数は0.9993。その他に東経/北緯 vs 東経差ΔEもやや高相関。ただし、#3/#12は座標がやや近接。

L5(KM-#3/#12/#16)…東経 vs 北緯の相関係数は0.9998。他の高相関パラメーターでは日時 vs 深さも高相関。


L6(KM-#4/#6/#14)…東経 vs 北緯の相関係数0.9998。。他の高相関パラメーターでは東経/北緯 vs 東経差ΔEも高相関。




L7(KM-#4/#10/#11)…東経 vs 北緯の相関係数は0.9998。他の高相関パラメーターはなし。

L8(KM-#5/#7/#10)…東経 vs 北緯の相関係数は0.9999。その他、日時 vs 東経/北緯、東経 vs 線分傾きΔN/ΔEでも高相関。ただし、日時 vs 東経/北緯ではKM-#7/KM-#10の座標が近接。

L9(KM-#5/#13/#14)…東経 vs 北緯の相関係数0.9996。その他、日時 vs 東経/北緯、日時  vs 線分傾きΔN/ΔE、東経/北緯 vs 北緯差ΔNでも高相関。ただし、いずれもKM-#13/KM-#14の座標が近接。なお。3震源のマグネチュードはM5.8で同一。

L10(KM-#6/#7/#9)…東経 vs 北緯の相関係数0.9988。その他、日時 vs 東経/北緯、東経/北緯 vs Mでも高相関。ただし、いずれもKM-#7/KM-#9の座標が近接。

L11(KM-#2/#9/#10)…東経 vs 北緯の相関は完全相関で相関係数1。他の高相関パラメーターでは日時 vs 北緯でやや高相関。ただし、#9/#10は座標が近接。

L12(KM-#6/#8/#11)…東経 vs 北緯の相関係数は0.9999。その他、日時 vs 東経差ΔE、東経/北緯 vs 東経差ΔE、北緯 vs 北緯差ΔN、東経差 ΔE vs 北緯差 ΔNでも高相関。日時 vs 東経差ΔEではKM-#8/KM-#11の座標が近接。






L13(KM-#7/#9/#11/#16)…東経 vs 北緯の相関は4震源での完全相関で相関係数1。以下、4点中3点の組合せについて、L13-1~L13-4として以下に評価。
L13-1 (KM-#7/#9/#11)…東経 vs 北緯の相関は完全相関で相関係数1。その他、日時 vs Mでも高相関。


L13-2 (KM-#7/#9/#16)…東経 vs 北緯の相関は完全相関で相関係数1。その他の高相関なし。
L13-3 (KM-#7/#11/#16)…東経 vs 北緯の相関は完全相関で相関係数1。その他、東経/北緯 vs Mでも高相関。


L13-4 (KM-#9/#11/#16)…東経 vs 北緯の相関は完全相関で相関係数1。その他の高相関なし。

L14 (KM-#6/#10/#16)…東経 vs 北緯の相関は完全相関で相関係数1。その他の高相関なし。

L15 (KM-#11/#12/#13)…東経 vs 北緯の相関係数は0.9993。その他、日時 vs 東経/北緯/M、 東経/北緯 vs 深さでも高相関。






高相関の多くは主要なハブである#6や#11を含む震源相関線での高相関が目立つ。

[震源間相関とその物理的挙動の推測] 

熊本エリアの地震活動は、「布田川・日奈久断層帯」という明確な地質学的構造に沿って、数十年単位の広域的な「反時計回りループ」と、数日単位の局所的な「時計回りループ」が重層的に組み合わさった破壊プロセスとして捉える事が可能。

1. 震源推移のフェーズ解析と個別挙動

熊本エリアのM5.7以上の活動は、大きく4つのフェーズに分かれる。

第1期:初期枠組みの形成(KM-#1 〜 KM-#3)

挙動: 1931年の深部146km(KM-#1)から始まり、1975年の阿蘇付近の極浅発地震(KM-#3)まで反時計回りに推移。
メカニズム: 深部エンジン層からの応力が地表(0km)へと突き上げられ、エリア全体の幾何学的な「外枠」を画定した準備フェーズ。

第2期:2016年熊本地震への収束(KM-#4 〜 KM-#10)

挙動: 軌跡が時計回りに反転。KM-#3から大きな領域の四角形の外周をループし、2016年4月14日の前震 M6.5(KM-#7)を経て、4月16日の本震 M7.3(KM-#10:#SP-9)に至る。
メカニズム: ループが閉じる方向にさらにKM-#8が発生し、ほぼ折り返しでKM-#9が発生。そこで進行方向を北西に変えて本震(KM-#10)に至る。これは、既存の「いびつな四角形」の境界内でエネルギーが逃げ場を失い、断層帯の最も強固な結節点で蓄積されたエネルギーが従来の強固な構造を破壊したことを示唆。

第3期:震災後の秩序再編(KM-#11 〜 KM-#15)

挙動: 本震直後の余震群(KM-#11〜#14)は、四角形ループを完結させるように進行。その後、約9年の沈黙を経て2025年にKM-#15が発生。
メカニズム: 巨大破壊によって乱れた幾何学的バランスを、既存の相関直線(L12、L14など)を埋めることで事後調整する「復元モード」と推測される。

第4期:最新の秩序更新(KM-#16)

挙動: 2026年7月28日、令和8年熊本地震 M7.1(KM-#16)が発生。軌跡は再び反時計回りに反転。
メカニズム: 2016年の破壊エリアの外縁(KM-#7付近)まで折り返す動きを見せており、システムが新たな巨大な平衡状態へと移行したと推測される。

2. 幾何学的・力学的メカニズム:立体ダムモデル

解析の結果、熊本エリアは深部と浅部が高度に同期した「立体的なエネルギー循環系」と見なせる。

「深部からの裏打ち」構造: 90km以深の震源群(KM-d1〜d11)が描く近似直線の傾き(29.6°)は、浅部の主せん断面候補であるL15(29.1°)とほぼ平行。これは、地震エネルギーが深部のスラブ変形から浅部の活断層へと垂直方向に効率的にチャージされていることを暗示。
「いびつな四角形」の檻: 震源の大部分(KM-#2, #5, #6以外)は一直線の帯状に分布しているが、その周囲を回遊するループ運動が「茂木ドーナツ」のような役割を果たしていると見られる。ループが閉じた瞬間に、中心部の固着域が「一気貫通」で破壊されることで、M7クラスへの跳躍が発生。

3. 断層構造との関連
本エリアの震源推移は、既知の活断層の走行と密接にリンクしていると見られる。
布田川・日奈久断層帯のドミノ: KM-#7からKM-#14にかけての急激な連鎖は、南西から北東へと延びる布田川・日奈久断層帯に沿った「水平ドミノ」そのものと見られる。

荷重転嫁と不動点: PCA(主成分分析)的視点では、これらの震源は特定の傾斜面(地殻内の弱面)付近に構造的に集中。一度大きな地震(M7.3)が起きることでアスペリティが小細分化され、プレートの有効摩擦面が増加するため、檻の「貯蓄容量」が更新され、より強固な固着状態へと変化。
最新震源 KM-#16 の意義: 今回のM7.1が過去の四角形エリアの外縁で発生したことは、2016年の破壊によって安定化した「本堤」をバイパスし、隣接する未破壊の断層セグメントへ応力が転嫁された結果であると推測される。

結論として、熊本地震(#SP-9)のマクロ解析は、「深部からのエネルギー供給ライン(L15)」と「浅部の断層帯ループ」が交差する幾何学的ハブにおいて、蓄積エネルギー(応力)が限界を超えて溢れ出した物理プロセスと見られる。最新のKM-#16の発生は、この「立体檻」の容量が再定義され、次の大規模なエネルギー還流サイクルが再始動した可能性を示唆しているとみられる。

[Dragonチャートにみられる状態変化]

1. 2016年熊本地震の前震直前まで

10km の地震が急増して1kmとの度数逆転が生じている一方で、10kmでは全体の近似直線や前後の1km/20kmに対して最大Mが低い状態。


2. 2016年熊本地震の前震直後まで

10km でM6.5が発生した結果、同震源深さでの最大Mが更新され、1kmのプロットとの縮退が生じ、1km~20kmのプロットが近似直線状に並んだ状態。その後、本震M7.3まで10km の地震が急増し、再び1kmの度数との逆転傾向が強まる。


3. 2016年熊本地震の本震直前まで

1km~20kmのプロットが近似直線状に並んだ状態を保ったまま、10kmの度数が伸長した状態。


4. 2016年熊本地震の本震直後まで

10kmの最大値がM7.3に更新され、10km~20kmのプロットが一直線上に並んだ状態に変化。


4. 2026年令和8年熊本地震直前まで

2016年の10km~20kmのプロットが一直線上に並んだ状態から10kmでの度数が伸長した結果、1kmのプロットも10km~20kmのプロットと共にほぼ一直線上にに変化。

5. 2026年令和8年熊本地震直後まで

令和8年熊本地震により20kmの最大Mが急増、10kmのプロットと平行近くまで上昇。結果、最多数の10kmのプロットが近似直線より下に変化。現在、多数の余震が発生中であり、遠くない将来に10kmでの最大値が更新される可能性あり。



#SP-9 熊本県熊本地方周辺の特異震源の解析(ミクロ的解析)

 [背景] 気象庁の有感地震全データを東経北緯を0.1度単位深さを1km単位のグリッドに分けた場合、M7以上の震源、かつ段数2段目あるいは3段目以上のグリッド震源はこれまで13震源しか存在しない。これら13震源を段数の特異震源と呼ぶ。2016年4月の熊本地震M7.3は2段目であり...