12の特異震源群をスクリーニングする方法を説明する前に震源グリッドの「段数」の定義について説明する必要があります。
グリッドは先の壱岐・隠岐の特異点で説明したように震源を経度・緯度・深さの小ブロックに分けたもので、緯度経度は0.1度単位・深さは1km単位です。
多くのグリッドでは大きな規模が発生した後ではより小さな規模の地震が起こるケースが大半です。1919年以降のデータをグリッド単位で見たとき、最初の発生した地震を1段目(規模不明だった場合は0段目)の初期値と定義します。以降の同一グリッドで発生した際の規模が最初の規模を初めて越えた時の地震を2段目の初期値、さらに2段目の規模を越えた場合は3段目の初期値、…と定義します。
気象庁有感地震データベース(1919年~2026年1月24日)での0段目を除く各段数は以下の通りです(初期値以降の次の段の初期値直前までは同一段数として扱います)。
データ全体(経度・緯度・規模不明(0段目)の場合を除く)の比率はを以下の円グラフに示します。
更にM7.0以上に絞ったものが以下の円グラフです。ほとんどが1段目(94%)で2段目・3段目は合わせて12件のみです。
明らかにM7以上では1段目~3段目の比率が上がっています。さらにM7以上では1段目の192件も併せて204件全てが各段数の初期値となっています。このことが2段目・3段目の12の特異震源を特徴づけています。同じグリッドでのM7以上の再発例は滅多にない事を意味します。
再度、明確にしますが、M7以上の2段目・3段目の12の特異震源と定義します。
単に段数だけが特異ではない事を最初の解析が既に示していますが、それは後述します。
12の特定震源群(#SP12-1~12)は以下の通りです。これは偶然かもしれませんが、3回の3段目の間には各4回の2段目があります。
色分けしたのは12震源中の青と黄に色分けした2組の連続した3件がほぼ直線上にあるためです。青が#SP12-4~6、黄が#SP12-8~10の連続となっています。
まず、12の特異震源群全部の東経北緯の震源推移図を示します。
青色・黄色ラベル2組を各ピックアップした結果は以下の通りでほぼ完全に直線上に位置しています。相関係数は各々1と0.9999です。
グラフの見やすさの都合で線の方角がわかりにくいですが、青の連続した震源推移(#SP12-4~6)はは浦河沖~茨城県沖の日本海溝より陸地側のほぼ南北に延びる直線となっています。発生時期は1978年~1982年の約4年間の短い時期で、東日本大震災に向けて蓄積エネルギーを蓄積していた時期でもあり、高い相関は当然の結果と言えるかもしれません。
黄の連続した震源推移(#SP12-8~10)は線を辿るとなかなか興味深いラインで、規模はM7.3~M7.4と揃っています。いわき市から八ヶ岳赤岳・琵琶湖南端・大阪湾の神戸海岸線とほぼ平行・石鎚山・佐多岬半島とほぼ平行・阿蘇山の各地点付近を通っています。順序的には1995年大阪湾での兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)から西南西の2016年4月の熊本地震に推移、大阪湾の震源上を東北東に折り返して同年2016年の11月の福島県沖でのM7.4に至ります(#SP12-8~10)。12の特異震源全体推移でみた場合、この福島県沖のM7.4(#SP12-10)と同じ震源域である福島県沖で同一規模の2022年のM7.4 (#SP12-11)が発生しています。
解析を先に進めます。12の特異震源から前記の相関の高い2組6件を除いた残り6件の橙の震源推移を下図に示します。壱岐・隠岐の場合と似たような残りの震源が全体的に三角形の領域を囲む反時計周りのループになっています。厳密には北東側ではM7.4がその前の震源M7とM7.1を結ぶラインをはみ出しているため、8の字型ループですが、これら連続した3点はほぼ直線上に位置(相関係数は0.9970)しており、壱岐・隠岐のケース同様に相関の高いこれらの相関ライン上で寄り道したと解釈すれば類似のパターンにも見えます。
12の特異震源群の始点である北伊豆地震M7.3はプレートのトリプル・ジャンクションに近く、前後では多数の群発地震も発生、更に1986年に伊豆大島の大噴火に至る火山活動の一環です。そのM7.3から始まったこの橙ループは始点のM7.3と福島県沖のM7.4を除くと、M7~M7.1と規模が揃っており、トリプル・ジャンクション付近の始点のM7.3のエネルギー波及が南海トラフ沿い、伊豆小笠原海溝の伊豆大島、北の日本海溝沿いを経由して一巡、さらに一昨年2024年に日向灘M7.1に至っています。このM7.1は南海トラフのトリガーの可能性を疑われた地震であり、特異点の資格は十分にありそうです。#SP12-4 宮城県と#SP12-10/11福島県沖の3つのM7.4は東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の影響で日本海溝沿いのグリッドの最大ポテンシャルが増大していたものと推測されます。
別ページで後述しますが、始点の1930年北伊豆地震自体も1919年の関東地震(関東大震災)の波及によると推測されます。大地震と火山活動の連動と見られます。
これら橙の6震源において、東経vsマグネチュードの推移図および北緯vsマグネチュードの推移図を以下に示します。
いずれもM7.3を起点として逆時計周りにループを描く相似性を示しています。
ここまでが12の特異震源群の解析結果となります。壱岐・隠岐の震源解析が示したのと同様の特異性を示した事は地震発生がランダムでなく、ある規則(群)に従って発生している事を十分に示唆していると考えています。次の#SP12-1 静岡県伊豆地方の解析でさらにその確信を深めることになります。
No comments:
Post a Comment