[目的]
12の特異震源の2番目、日向灘にある#12-2について、経度・緯度が共通のグリッドで深さ違いの18震源を気象庁有感地震データベースから抽出、解析することにより幾何的特徴を見出し、その物理的意味を考察する。
[概要]
本解析では、特異震源近傍の狭い空間領域に分布する複数の震源系列を対象とした。当該領域設定の下では、各震源系列を近似する回帰直線群において、傾きおよび切片の相関が1となること自体は数学的に必然である。
重要なのは、この制約条件のもとで、回帰直線群が示す交会様式である。
実際には、すべての直線が厳密に一点で交差するのではなく、少数の代表的ラインが中心近傍で交差し、その他のラインはその周囲に包絡的に分布する構造を示す。
本稿では、この中心近傍に形成される参照的な点を不動点と定義し、震源分布が幾何学的に拘束される中心構造として解釈する。
当該不動点は厳密な点解ではなく、微小な空間幅をもった安定領域として現れており、これは応力・ひずみの伝達方向が完全に自由ではなく、一定の方向性を保ったまま系全体で同期化しつつある状態を反映したものと考えられる。
[震源推移図]
12の特異震源の1つ#SP12-2のグリッド(東経131.9度・北緯31.6度・震源深さ37km)と同一緯度・経度(0.1度単位)の微小範囲で深さ違いの18震源のデータリストと推移図は以下の通り。推移図各点のラベルはマグネチュードで、オレンジ色の四角の3震源は#SP12-2のグリッドの1段目初期値(M5.2)・2段目初期値(M7)・2段目(M5.2)。画面中央上側付近の特異震源M5.2(#2-1)が始点、画面左下角のM3.8(#2-18)が終点と連番を付与。従って、ここでは特異震源#12-2の3点は#2-1/#2-3/#2-10(真の特異震源M7以上は#2-3のみ)。
[震源推移群の相関群・非相関群]
下図にこの推移図で直線上にある震源群を赤線で図示した。
赤色の線群は全部で7本あり、一覧表で赤字で示した#2-6(M3.9)を通る線が3本、特異震源#2-3(M7)を通る2本、特異震源#2-10(M5.2)を通る2本でここではl1~L7と呼ぶ。各震源群と相関式・相関係数は以下の通り。
#2-6(M3.9)を通る3本 l1~L3
l1:#2-5(M4.3)・#2-6(M3.9)・#2-7(M5.1)
y = -0.2971x + 70.773 R² = 0.9999
l2:#2-6(M3.9)・#2-11(M5.2)・#2-16(M5.3)
y = 0.2x + 5.2033 R² = 1
※特異震源#2-10(M5.2)から#2-11(M5.2)に進み、#2-6(M3.9)上を素通りして#2-16(M5.3)までは逆時計回りの推移上の2点#2-11(M5.2)・#2-16(M5.3)と、#2-6(M3.9)を結ぶ線。
l3:#2-6(M3.9)・#2-12(M4.5)・#2-13(M3.7)
y = 1.2342x - 131.21 R² = 0.9986
※上記の特異震源#2-10(M5.2)~#2-16(M5.3)までの逆時計回りの推移上の2点#2-12(M4.5)・#2-13(M3.7)と、#2-6(M3.9)の近似直線。
#2-3(M7)を通る2本 l4・L5
l4:#2-3(M7)・#2-5(M4.3)・#2-9(M4.6)
y = -1.5329x + 233.81 R² = 1
※特異震源#2-3(M7)からL1の中間点#2-5(M4.3)を通り、L5と共通の#2-9(M4.6)を通る線
l5:#2-3(M7)・#2-15(M3.5)・#2-18(M3.8)
y = 3.0822x - 374.86 R² = 0.9996
※特異震源#2-3(M7)から2点#2-15(M3.5)・#2-18(M3.8)を通る直線上。これら2点間#2-15~#2-18の経路は時計回りで#2-15は逆時計回りと時計回りの反転ポイントとなっている。
#2-10(M5.2)を通る2本 l6~L7
l6:#2-8(M5.1)・#2-10(M4.3)・#2-12(M4.5)・#2-18(M3.8)
y = 0.2765x - 4.9011 R² = 0.9995
※#2-8(M5.1)から#2-10(M4.3)を通り、L3と共通の#2-12(M4.5)、L5と共通の#2-18(M3.8)を通る線。
l7:#2-9(M4.6)・#2-10(M5.2)・#2-17(M4.5)
y = 31.5633333333333 R² = 定義不可
※L4と共通の#2-9(M4.6)から特異震源#2-10(M5.2)まで推移線を辿り、その延長線上の#2-17(M4.5)を通る北緯一定の線。さらに延長した近傍にはl6の中間点がある。
l1~L6の傾きと切片の相関図
l1~L6の傾きと切片は完全に相関係数1の直線上に乗る。狭い範囲での任意の直線で成り立つ関係であり、当然の結果だが、その相関式の傾きと切片から震源群の幾何的中心を見出すことができる。その座標は東経131.89度北緯31.596度であり、前述の推移図では#2-6(M3.9)付近のこの幾何的中心を唯一の「幾何学的な要(かなめ)」として、この点を中心に回転、あるいは収束するよう震源が推移しているように見えている。事実、2024年に付近でM7.1が発生したにも関わらず、幾何的中心の周囲 4km 以内で1977年以来 M4.2以上の地震が起きていない。これは、この地点が単なる計算上の中心ではなく、物理的に「極めて強固で巨大な岩塊(超高強度アスペリティ)」である不動点である事を示している。
特異震源3震源と幾何的中心の位置関係は下図の通り。特異震源3点(橙)のうちの#2-3(M7)・#2-10(M5.2)の中点からのl1~L6の幾何的中心との距離は真南に約560m。完全な垂直ではなく深部から浅部へと傾斜した震源配列が形成されている。この配列は
…冒頭の一覧表で線群l1~l6の震源群(黄色)に含まれない無色の#2-1(M5.2)/#2-2(M4.7)/#2-4(M5.3)/#2-14(M4.6)4震源の時計回りの推移を下図に示す。対角での規模がほぼ同様、かつ#2-1(M5.2)/#2-4(M5.3)の対角線を結ぶ線分がもう一組の対角を結ぶ線分をちょうど2等分にしている。もう一組も2等分ではないが、それに近い比率を示している。
これらの事象からみると対角に配置された震源がほぼ同じ規模で発生する「双極破壊」が起きている。この事は中心点は破壊点ではなく、応力の支点(ピボット)である事を示唆している。
対角線が中間点を通る意味としては、系が空間的にバランスしている。このことは応力伝達が非ランダムであることを示唆している。物理的には中心点は最大破壊点ではなく、トルクがかかる“軸”として機能している。
[結論]
日向灘周辺では過去にM7規模の地震が実際に発生しており、この事実は当該領域が同程度のエネルギーを伝達・再配分し得る構造を有していることを示している。
特異震源自体が次のM7級発震点となる可能性は高くない一方で、本震源域においては、現状の相関構造を踏まえると、将来的にひずみのバイパスは構造的に弱い南北方向に生じる可能性が相対的に高いと考えられる。
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