Wednesday, May 13, 2026

#SP12-6 茨城県沖周辺の特異震源の解析(マクロ的解析)

  [背景]

気象庁の有感地震全データを東経北緯を0.1度単位深さを1km単位のグリッドに分けた場合、M7以上の震源、かつ段数2段目あるいは3段目以上のグリッド震源は12震源しか存在せず、12の特異震源と呼んでいる。その中の発生順で6番目の茨城県沖の震源#SP12-6に関連して、マクロ的な震源域である茨城県沖を囲む矩形エリアでのM6.7以上の解析を行い、特異震源との関連性を見出そうとするものである。また、その手法としての震源位置・深さ・マグネチュードから得られる幾何的解析の信頼性についても検証を進めている。

[データ範囲と震源データ(M6.7以上)]

気象庁データ(1919/01-2026/01)における浦河沖の全震源を含む矩形エリアからM6.7以上を抽出。#IB-1~#IB6-16の16震源データを得て、これらを対象に解析を行う。このエリア内に12の特異震源#SP12-6 (#IB-11)の3段目初期値M7.0も含まれる。


[M6.7以上の震源推移]

下の図1に示すように#IB1~#IB4まで進行方向に対して反時計回り、#IB-4で変曲して折り返し、#IB4~#IB8まで再び反時計回り、さらに折り返して#IB8~#IB13まで反時計回り。東日本大震災M9.0の直後から当日の#IB13~#IB15は反転して時計回り。そのうち、#IB13から#IB14は#IB8~#IB9に平行に逆行している。M9.0翌日のIB-16は線分#IB-3/#IB-4に沿って変曲して推移。

[M6.7以上の震源間相関直線と幾何的中心]

震源間の高相関直線群L1~L11および幾何的中心GC、GC(all)、GC(all)0を下図の図2に追加した。

各幾何的中心は複数の相関式の傾きと切片の相関式から得られるメタ相関式の傾きと切片から得られる座標。GCはL1~L11から得られる座標、GC(all)は時系列に連続した2つの震源を結ぶ15本の線分群から得られる座標で、本エリア最大のIB13のM7.6直前のIB12までのGC(all)をGC(all)0とする。


震源間の高相関式と相関係数は以下の通り。
L1 (IB1/IB3/IB9) y = -5.657x + 836.29 R² = 0.9999
L2 (IB1/IB8/IB15)   y = 1.04x - 111.21  R² = 0.9997
L3 (IB2/IB6/IB9) y = 2.6948x - 344.89 R² = 0.9994
L4 (IB3/IB4/IB15)   y = -0.8007x + 149.63 R² = 1
L5 (IB4/IB6/IB16)   y = -1.4051x + 235.57 R² = 1
L6 (IB5/IB13/IB14)  y = 0.5502x - 41.603 R² = 0.9995
L7 (IB8/IB12/IB14) y = 0.7588x - 71.221  R² = 1
L8 (IB9/IB11/IB12) y = -0.1165x + 52.724 R² = 0.995
L9 (IB9/IB10/IB15/IB16) y = -0.3321x + 83.221 R² = 0.9973
L10 (IB11/IB13/IB15) y = 0.0891x + 23.536 R² = 0.9909
L11 (IB5/IB11/IB16) y = -2.4469x + 383.52 R² = 0.9996

各幾何的中心の座標は以下の通り。
 L1~L11から算出  GC   (141.51, 36.305)
 IB1~B16から算出    GC(all)  (141.51, 36.37)
 IB1~B12から算出    GC(all)0  (141.5, 36.447)
GC(all)0からGC(all)のほぼ延長線上にGCはあり、M6.7以降でGC(all)はGCに近付きつつある。

[M6.7以上の震源間相関直線L1~L11におけるパラメーターとの相関]
下表のようにパラメーターとして、一つ前の地震との線分の傾き(北緯差ΔN/東経差ΔE)、線分切線分傾きΔN/ΔEを追加した。
M6.7以上の震源間相関直線L1~L11におけるパラメーター間の相関高めの相関図(東経 vs 北緯 以外)を以下に抜粋した。ただし、L9では4震源中で特定の震源間のみで高相関の場合があり、抜粋された震源間での高相関のみ表示した。

L1(IB1/IB3/IB9)…東経 vs 北緯の0.9999の高相関係数のみ。

L2(IB1/IB8/IB15)…東経 vs 北緯の他、日時 vs 線分傾きΔN/ΔEでも高相関


L3(IB2/IB6/IB9)…東経 vs 北緯の他、日時 vs深さでも高相関L4(IB3/IB4/IB15) …東経 vs 北緯の相関係数1の高相関係数のみ。


L4(IB3/IB4/IB15)…東経 vs 北緯の相関係数1の高相関係数のみ。

L5(IB4/IB6/IB16)…東経 vs 北緯の相関係数1の他、日時 vs 線分傾きΔN/ΔEでも高相関。


L6(IB5/IB13/IB14)…東経 vs 北緯の他、日時 vs 線分傾きΔN/ΔEでも高相関。ただし、IB13とIB14が近接。


L7(IB8/IB12/IB14)…東経 vs 北緯の相関係数1の高相関係数のみ。

L8(IB9/IB11/IB12)…東経 vs 北緯の相関係数0.9950でやや低め。

L9(IB9/IB10/IB15/IB16)…4震源の高相関直線。4震源では東経 vs 北緯のみ高相関だが、3震源では組合わせにより東経 vs 東経差 ΔE、あるいは東経差 ΔE vs 北緯差 ΔN・北緯差 ΔN vs 線分傾きΔN/ΔE・東経差 ΔE vs 線分傾きΔN/ΔEでも高相関。ただし、後者は2震源近接による可能性あり。






L10(IB11/IB13/IB15)…東経 vs 北緯の他、北緯 vs 深さ でも高相関。


L11(IB5/IB11/IB16)…東経 vs 北緯の他、日時 vs 東経/北緯、東経差 ΔE vs 北緯差 ΔNでも高相関。




[震源間相関直線群と傾き]

震源間相関直線L1~L11の東経に対する傾きは以下の通り。
L1 (IB1/IB3IB9) y = -5.657x + 836.29  -80.0°
L2 (IB1/IB8/IB15) y = 1.04x - 111.21   46.1°
L3 (IB2/IB6/IB9) y = 2.6948x - 344.89   69.6°
L4 (IB3/IB4/IB15) y = -0.8007x + 149.63    -38.7°
L5 (IB4/IB6/IB16) y = -1.4051x + 235.57    -54.6°
L6 (IB5/IB13/IB14) y = 0.5502x - 41.603   28.8°
L7 (IB8/IB12/IB14) y = 0.7588x - 71.221   37.2°
L8 (IB9/IB11/IB12) y = -0.1165x + 52.724   -6.6°
L9 (IB9/IB10/IB15/IB16) y = -0.3321x + 83.221 -18.4°
L10 (IB11/IB13/IB15) y = 0.0891x + 23.536    5.1°
L11 (IB5/IB11/IB16)  y = -2.4469x + 383.52 -67.8°

今回、これに加え、IB1~IB16からの全ての2震源の組み合わせにおける線分の角度を計算した。

[各震源の幾何的推移]

1. IB1 → IB2
推移: M7.1発生の約3時間後にM6.7発生。深さ36kmから67kmへ急降下。推移角度は140°および南東40°。
2. IB2 →L4(IB3/IB4)
推移: 約1年後、67kmから0kmの地表(IB3, M7.2)へ到達。約6時間後に同じL4上で11km(IB4, M6.8)へ。反時計回り。
3. IB4 → IB5
推移: 約10日後、11kmから再び0km(IB5, M6.7)へ。推移角度約118°。L6(約29°)やIB8/IB9(約30°)と直交。
4. IB5 → IB7
推移: 反時計回りの継続。0km → 30km → 0km(IB7)。緩やかな曲がり角で推移。
5. IB7 → IB9
推移: 0kmからIB8(7km)、IB9(9km)へ東西推移。IB3→IB8の反時計回りの震源群はL6以北の浅部に集中。IB8/IB9(約30°)はL6(約29°)とほぼ平行。
6. IB9 → IB10
推移: L6平行線上の浅い震源IB9(9km)から、L6の壁を突き抜けてL9上のIB10(48km)へ約18年を要す。同時に反時計回りから時計回りへ反転。IB9は4本のラインが交差するハブ。
7. IB10 → IB11
推移: L6と平行な線分IB1/IB11(約29°)上へ浅い角度(約16°)で合流(差分約13°)。48kmから30kmへ約21年かけて推移。規模はM6.8からM7.0へ微増。
8. IB11 → IB12
推移: 4本の震源間相関直線の集中するハブIB9に向けてL8上を推移し、L7との交点(IB12, 51km, M7.0)へ。IB12はL7/L8の交点であるだけでなく、L4も付近を通っており、2本のハブより3本のハブに近い。約26年後。
9. IB12 → IB13
推移:L6(約29°)に浅い角度(約17°)で合流(差分約12°)、51kmから43kmへ浅部方向へ推移。東日本大震災直後に発生し、エリア最大値のM7.6(IB13)。
10. IB13 → IB16
推移: IB13直後に時計回りでL6上をIB14へ。その後、4本の震源間相関直線の集中するハブIB15を経由し、L9上の3直線のハブ交点IB16に至る。

[震源群の主要幾何的構造]

震源群の主要幾何的構造を図4に示す。

震源のうち、11km以浅の震源群(IB3~IB5/IB7~IB9)を青塗りつぶし、L6に平行な震源ライン群(約29°)および垂直な震源ラインIB4/IB5(約118°)を緑の線、L4を底辺として共有する2つの長方形を茶の線で表記。2つの長方形はIB3/IB6/IB15を共有しており、1つはL5を対角線、L4を底辺として共有、4つの頂点のうちのIB3/IB4/IB6を有る長方形。もう一つはL4と底辺を共有、IB3/IB14/IB15を頂点として有し、残る頂点はIB7を通り、L6と平行な線上にある長方形。L4~L6以外の直線群は煩雑さを避けるために表記を省略したが、4本の震源間相関直線が交差するハブIB9はL6に隣接して平行な震源ラインIB8/IB9を含み、もう1つの4本のハブIB15は2つの長方形が重なるL4上に位置している。


[震源間の幾何的推移に対するメカニズム推論]

図4の幾何的構造も参考にして、震源間の幾何的推移に対するメカニズムを以下に推論した。

1. IB1 → IB2(誘発された深層推移)
メカニズム推論: 関東地震の直前という極限化する広域ストレス下において、M7.1が誘発。最も抵抗の少ない深部方向へ約3時間という短時間で一気に引き裂かれた「垂直方向の初期破壊」。

2. IB2 → L4(IB3/IB4)(開放端への到達と経路屈曲)
メカニズム推論: IB2や関東地震後の約1年後、 IB2で深部に到達した圧力が、今度は「開放端(地表)」で開放。地表付近でのIB3でのエネルギー放出の反作用(跳ね返り)によって経路が屈曲し、IB4という「今後の浅部活動の起点」となる重要なハブと2つの長方形と底辺を共有するL4が形成。

3. IB4 → IB5(X字骨格:主せん断面の形成)
メカニズム推論: L6(約29°)などの「北東-南西」の断層面に対し、ほぼ直交する「北北西-東南東(118°)」の断層面が動いたことで、このブロック全体の破壊法則(X字の共役断層)が確定。のちの最大地震IB13(M7.6)の土台がここに形成。

4. IB5 → IB7(浅部エネルギーパスの定着)
メカニズム推論: 主せん断面、およびL4と平行なIB5/IB6の形成により、2つの長方形のうち、浅い震源IB3/IB4/IB5を含む長方形の1つで対向する辺が形成されたことで、地表(0km)付近に恒常的なエネルギーの「逃げ道」が形成。

5. IB7 → IB9(「L6の壁」による北側トラップ)
メカニズム推論: L6(すでにIB5で一部活動の主せん断面)が、南側の深部への「強固な壁」と機能。そのため、エネルギーはL6の北側に隣接の浅部(10km以浅)を平行にスライド(反時計回り)を強いられ、その滞留が進行。

6. IB9 → IB10(壁の突破と深部への還流)
メカニズム推論: 浅部(北側)で飽和したエネルギーが、結節点であるIB9の脆弱性を突いて「L6の壁」を抜け、南側の深部へ進出。回転方向が時計回りに反転したことは、応力が「X字のもう片面」へ乗換(相転移)したことを強く示唆。

7. IB10 → IB11(壁に沿った深部での伸長と頭打ち)
メカニズム推論: L6の壁を南側に越えた後、L6に平行な線分IB1/IB11に想定される同様の壁によって直進が阻まれ、エネルギーは壁に沿ってゆっくりと這うように伸長。これらの「幾何学的な制約」が、長期間にわたって規模がM7.0で頭打ちになった最大要因の可能性。また、同時にエネルギーの緩やかな蓄積がIB13での12の特異震源の3段目に至る要因にもなっていたと推測。

8. IB11 → IB12(次なるM7越えへのセットアップ)
メカニズム推論: L6に回帰の壁に沿った応力の蓄積がL4との交点で限界点(深い51km地点での結節点)に到達。L6とL4という主要ラインが交差、2つの長方形が重複する辺上におけるこの位置は、これまでの応力が集中しており、浅い震源へのバイパスとしての長方形の辺上に位置するIB12はM7越えへのトリガーとしての存在となったと推測。

9. IB12 → IB13(外部トリガーによる最大破壊)
メカニズム推論: 長年L6およびそれに平行な壁に阻まれて蓄積されていたエネルギーが、3.11の超広域的な地殻変動によってM7越えの最終トリガーとして機能。X字の主せん断面(L6)そのものが大規模に滑りにより、エリア最大値のM7.6(IB13)が発生。

10. IB13 → IB16(幾何学的なロック状態への収束)
メカニズム推論: 最大破壊(IB13)後、残留した応力が、IB13/IB14の震源により、残る1つの長方形の頂点4つのうち、3つまでを確定させ、2つの長方形枠組みを完成させた(残る1頂点はL6に平行な浅い震源IB7を通る震源ラインにより潜在的に存在)。この幾何的な完成が「幾何学的にロックされた準安定状態」にあることを示唆。2011年のIB16の発生以来、M6.7以上の地震の発生が停止状態にある。

[3次元主成分分析(PCA)によるメカニズム推論]
Geminiによる3次元主成分分析(PCA)による演算の結果、第1・第2主成分で分散の90%を説明可(未検証)できることは、IB1〜IB16の震源群が偶然の産物ではなく、太平洋プレート上面という「たった一枚の傾いた板」の上で起きた一連の破壊現象である事を示唆。

以下にこの24.0度のフィッティング平面(スラブ上面)と、各震源の深さ、および震源ラインの整合性について整理した。

1. スラブ傾斜方向と深さの整合性
茨城県沖のスラブ(太平洋プレート)は、「東南東(海溝側)から西北西(陸側)」に向かっての沈み込みであり、PCA算出された24.0度の平面において、各震源の深さとこの地理的配置との整合性を確認した。

震源ライン(L1〜L11)と平面の対応性
「震源ライン」は、この24.0度に傾いた巨大な面上に刻まれた「亀裂のネットワーク」と推測。

① 主せん断面 L6 (IB5/IB13/IB14) の役割
L6は平面上を斜めに走る「主軸」。

幾何学的対応: L6は、0km(IB5)から43km(IB13)を経て25km(IB14)へ至る、平面上の「縦断ライン」の役割。

物理的意味: スラブ上面という「活動面」に対して、斜めに切り込むような巨大な断層亀裂。L6上のIB13での最大規模の地震発生は、平面内で蓄積された歪みが、このL6という「最も滑りやすいレール」に沿っての解放であった事を示唆。

② 垂直に交わる X字型共役断層
「L6(29°)」と「IB4/IB5(118°)」の直交関係は、この24.0度の斜面上で発生。

力学的整合性: 震源のこの平面への密着は、破壊がプレート内部へ逸れることなく、「プレート境界という2次元平面内」だけで効率的に連鎖(ドミノ)したことを示唆。90%という分散説明率は、この「坂の上でのチェス」のような整然とした連鎖を象徴。

③ 震源ラインの「集中点(ハブ)」:IB9とIB15
4本のラインが集中するIB9(9km)とIB15(23km)は、この傾斜面における「バイパス」の役割。

IB9: 浅部(0〜10km)の水平移動と深部への垂直移動を繋ぐ、平面上の「バイパス」。

IB15: 平面中央部で、複数のせん断面が複雑に絡み合う「力学的結節点」。

[震源間の幾何的推移に対するメカニズム推論まとめ]

全体的な流れのサマリー:共役断層の形成と「L6の壁」の突破
IB1からIB16までの推移は、巨大な「X字型の共役断層」が形成され、その境界線(壁)を巡ってエネルギーが浅部と深部を行き来する、4つの明確なフェーズに大別される。

フェーズ1:主せん断面の形成と浅部へのバイパス開通(IB1〜IB5)
深部での破壊(IB1/IB2)を起点に、0kmの開放端(IB3)へエネルギーが到達。直後に直交する別方向のせん断面(IB4/IB5)が形成され、エリアを支配の「X字の骨格」が完成。

フェーズ2:浅部トラップと「L6の壁」の顕在化(IB5〜IB9)
エネルギーは10km以浅の表層を反時計回りに巡るが、主せん断面「L6(約29°)」が強固なバリア(壁)として機能し、エネルギーをエリア北側に封じ込め。

フェーズ3:壁の突破と深部での応力蓄積(IB9〜IB12)
浅部で限界に達したエネルギーは、ハブであるIB9を起点にL6を「突き抜け」、一気に深部(48km)へ進行(時計回りへの反転)。その後、壁(L6)に沿うように数十年かけてじわじわと南下・深層化し、M7.0の頭打ち状態を継続しながら次なるM7越えの地震発生のエネルギーを蓄積。

フェーズ4:外部トリガーによる最大破壊と構造のロック(IB12〜IB16)
蓄積された深部の応力が、東日本大震災(3.11)という外部トリガーによってL6上で一気に解放され、エリア最大となるIB13(M7.6)が発生。その後は再び時計回りに反転し、幾何学的な交点(ハブIB15やL5との交点)に収束、一時的なロック状態(準安定状態)入り。

#SP12-6 茨城県沖周辺の特異震源の解析(マクロ的解析)

  [背景] 気象庁の有感地震全データを東経北緯を0.1度単位深さを1km単位のグリッドに分けた場合、M7以上の震源、かつ段数2段目あるいは3段目以上のグリッド震源は12震源しか存在せず、12の特異震源と呼んでいる。その中の発生順で6番目の茨城県沖の震源#SP12-6に関連して、...