Wednesday, April 1, 2026

#SP12-3 伊豆大島周辺の特異震源の解析(ミクロ解析)

 [背景]

気象庁の有感地震全データを東経北緯を0.1度単位深さを1km単位のグリッドに分けた場合、M7以上の震源、かつ段数2段目あるいは3段目以上のグリッド震源は12震源しか存在せず、12の特異震源と呼んでいる。その中の発生順で3番目の伊豆大島近海地震の震源#SP12-3に関連して、同一グリッド震源群での解析を行い、その幾何的構造とその意味について検討した。

[データ範囲と震源データ]

気象庁データ(1919/01-2026/01)における伊豆大島近海の全震源から特異震源#SP12-3の同一グリッドの震源は71震源あり、解析するには多すぎるため、M3.3以上の##1~##14の14震源に限定して抽出。これらを対象に解析を行う。##1は1段目の初期値、##7は2段目の初期値M7となっている。


[特異震源#SP12-3の震源推移(M3.3以上)]

下の図1に示すように##1~##12までは右手周り方向に推移、##12~##14では反転して左手周りに推移しており、##12が反転ポイントになっているように見える。


[特異震源#SP12-3の震源推移(M3.3以上)の震源間相関直線と幾何的中心]

図2として、図1に直線上に震源群を結ぶ5本の相関線を追記した(L1 ~ L5)。


5本の相関式と相関係数は以下の通り。

 L1 y = 1.1942x - 131.58 R² = 0.9992 (##1/##8/##12)
 L2 y = 0.662x - 57.425  R² = 0.9996 (##1/##10/##11)
 L3 y = 4.3846x - 575.85 R² = 0.9918 (##2/##3/##10)
 L4 y = -0.6791x + 129.37 R² = 0.9999 (##3/##4/##11)
 L5 y = 0.467x - 30.268  R² = 0.9996 (##7/##8/##13)

これら5本の相関式の傾きと切片の相関式から得られるメタ相関式  y = 139.27x + 34.77 の傾きと切片から震源群の幾何的中心の座標GC(139.27, 34.77)が得られる。一方、時系列に連続した2つの震源を結ぶ13本の線分群から得られる幾何的中心をGC(all)とすると、各GCは以下の通り。それらの座標も図2で追加した。

 5相関式から算出    GC   (139.27, 34.77)
 13本の線分群から算出 GC(all)  (139.31, 34.797)

その結果、特異震源#SP12-3の始点##1を通る震源間相関直線L1/L2のうち、幾何的中心GCおよびGC(all) は##10/##11との震源間相関直線L2上に幾何的中心の座標GCおよびGC(all) は位置しており、これら5点の相関係数は0.9990。GC(all)は##13/##14の延長線とL2との交点付近、もう一方のGCはL2/L3交点の##13付近に位置しており、変曲点##12までの区切りとして位置しているように見える。

[震源間相関直線L1~L5におけるパラメーターとの相関]
下表のようにパラメーターとして、一つ前の地震との線分の傾き(北緯差ΔN/東経差ΔE)、線分切線分傾きΔN/ΔEを追加した。


震源間相関直線L1~L5におけるパラメーター間の相関高めの図を以下に抜粋した。東経 VS 北緯以外の明確な高相関が得られたのはL3のみ。

L1…特異点始点##1(1段目初期値)と変曲点##12を両端に含む震源間相関直線。日時 vs Mの相関係数が1になっているが、##8/##12の値が同一のためであり、参考として提示。



L2…L1と特異点始点##1(1段目初期値)を共有、変曲点##12の手前の##10/#11を両端に含む震源間相関直線。日時 vs Mの相関係数が1になっているが、##8/##12の値が同一のためであり、参考として提示。GCとGC(all)を除く相関係数は0.9996。


L3…特異点1段目・2段目初期値や変曲点##12を含まず、L1~L5の中で最も東経VS北緯の相関係数が低い。一方で唯一、他のパラメーター間との明確な高相関を有する。




L4…l3同様に特異点1段目・2段目初期値や変曲点##12を含まない一方、L1~L5の中で最も東経VS北緯の相関係数が高い。


L5…L1~L5の中で唯一特異点2段目初期値M7を含む。


[震源間相関直線群と実際の地質構造との比較]

震源間相関直線L1~L5の座標平面上の傾きから、北を基準とした走向をarctan で求めた結果は以下の通り。
L1…走向 約 N40°E(北東−南西)
L2…走向 約 N56°E(北東−南西)
L3…走向 約 N13°E(北北東−南南西):北伊豆断層帯の走向 約 N15°Eとほぼ一致
L4…走向 約 N56°W(北西−南東):伊豆半島南部やその東方沖には北西−南東方向の右横ずれ断層が発達、その主軸たる1974年伊豆半島沖地震を起こした石廊崎断層の平均走向 N58°Wとほぼ一致。
l5…走向 約 N65°E(東北東−西南西)

L1(N40°E)、L2(N56°E)、L5(N65°E)は、東北東−西南西方向のラインであり、これらはフィリピン海プレートの沈み込み境界(相模トラフの走向)と平行な成分であると同時に、伊豆諸島の火山列に沿ったマグマの貫入方向(割れ目噴火に伴う引張応力の伸張軸)とも類似性が見られる。
特に、システム全体の重心(GC)を貫くL2(N56°E)は、この領域における広域的なプレートの引きずり込み、あるいは火山性のテンションの最も安定した主軸である可能性がある。
これらの類似性は伊豆半島〜伊豆大島近海における、フィリピン海プレートが本州に衝突する事による北西−南東方向から強い圧縮応力に伴う、伊豆周辺には特徴的な「X字型」の共役断層(左横ずれ断層と右横ずれ断層のペア)の発達を反映している可能性を示唆している。

[まとめ]
特異震源#SP12-3のグリッドにおける震源群の簡易的な幾何的解析が実際の地質構造を反映している可能性がある。また、震源の東経北緯の座標推移で##1~##12まで右手周りが連続している事実は震源推移が明確な法則下にあることも示唆している。

#SP12-3 伊豆大島周辺の特異震源の解析(ミクロ解析)

 [背景] 気象庁の有感地震全データを東経北緯を0.1度単位深さを1km単位のグリッドに分けた場合、M7以上の震源、かつ段数2段目あるいは3段目以上のグリッド震源は12震源しか存在せず、12の特異震源と呼んでいる。その中の発生順で3番目の伊豆大島近海地震の震源#SP12-3に関連...